アメリカの奇跡のスーパーマーケットに学ぶ、日本の『働く感』〜"改善"ではなく"再構築"する〜




先日家に帰ってテレビをつけたら、

「会社は社会のためにある」「商売よりも、人々が優先」を体現し、地元住民がその企業のために体を張って戦う、、、
そんな会社のことを紹介していた。


その会社は、アメリカ北東部・ニューイングランドにある。

マーケットバスケット(DeMoulas Market Basket)という会社。
名前から分かる通り、スーパーマーケットだ。


マーケットバスケットは低価格・低コストを売りにしたスーパーで、ウォルマートなどより安い。ただ、価格を安くしたら従業員の賃金も低いことが当然だが、ここは違う。
従業員を雇う時も、地元の人を積極的に採用し、賃金も平均より高め、ボーナスや奨学金制度など福利厚生も充実させるという会社。
が故に、地元からとても愛される会社だったそうだ。

そして、この会社の社長が、アーサーT。


この会社の3代目。
彼がこの会社を、そんな地元に愛される会社にした張本人。


ですが、2014年に事件が起きる。

株式を多く保有し株主総会を牛耳っていたのが、アーサーS。
社長のいとこだ。

アーサーSは利益優先で、数字でしか人を見ない非人情派。黒字で店舗数も増えているのに、同族株主への配当が伸びないとアーサーTの経営方針に不満を持ち、株式50.5%を持つアーサー・Sは、株式49.5%を持つアーサー・Tを追い詰めて、解雇通知をする。


普通の会社なら、そこで親族間の痴話喧嘩のように捉えて終わると思うのだが、この会社は違った。


マーケットバスケットを愛する地元の人々がアーサーTの再起を願い、抗議活動を起こしたのだ。
従業員だけでなく、年代問わず顧客・取引先などが参加し、、、気が付けば200万人を超える聴衆がデモに参加しもはや全米を巻き込む騒動に。
取引先も参加するので、お店には商品もなく、もちろん顧客も来ない。
抗議運動は6週間約2か月に及び、やがて州知事や政治家たちを巻き込み、ついにアーサーTは社長に舞い戻る。


彼が社長に返り咲いた時のスピーチがこちら。

 


『ここには、働くという以上の意味が存在する。』

彼の、この言葉がとても印象的だ。




さて、『働くという以上の意味』、これが何を指しているのか。

昨今の日本の労働環境を取り巻く『働き方改革』というのは、おそらくこの『働くという以上の意味』という概念までたどり着いていない。

今の『働き方改革』は、『働くことをより良くしよう』と、今ある状態を"改善"していこうというニュアンスが強いなと、そんな風に私は思う。

だが、このアーサーTが言っていることは違う。

『働くという以上の意味』は、『働くという意味』を明確に認識しなければなし得ない。
こちらは"改善"ではなく、"構築/再構築"に当たるだろう。

私は、この"改善"ではなく、"構築/再構築"に対して取り組んで行きたい、そう思うのだ。





ちなみに、この話は日本だと『奇跡のスーパーマーケット』という本にもなっているので、ご興味のある方はぜひ。

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