とある高校1年生の女の子が言った「大人になっても楽しくいるためには、何をしたらいいですか?」という問いに、大人たちはなんて答えるのだろう。




昨日、横浜のとある高校一年生の女の子と2時間くらい1対1で話す機会があった。

学校の総合の時間の取り組みとして、1人1人の学生がそれぞれ別の社会人に話を聞いてくる。
そしてそれを自分の将来を考えるきっかけにして、夏休み明けにレポートを発表するらしい。


今年16歳、私とちょうど10歳違うということでかなり衝撃を受けた。
ポケモンのゲームは『プラチナ』かららしいし(ポケモンは私が小学1年生の時に生まれ、私は『赤』『青』『緑』からだ)、最初に持った携帯はスマホだと言うし(私は中3の時にガラケー)、
とにかく年齢を感じた。

でも、実はポケモンのゲームが大好きなんだけど友達にはちょっと恥ずかしくてなかなか言えないだとか、ワンピース(マンガ)が大好きでこのシーンで泣けたとか、小さい頃からずっと剣道をやっていてその守破離な世界がとてもいいだとか、
まだまだ私もたくさん一緒に話せることがあって『まだ共通言語がある、、、!』と、内心かなり感激もした。


そんな彼女は来年から文系に進むことを決めているらしいのだが、将来何になるというのは、まだよく分からないとのことだった。
今回はインタビューということで、私の仕事内容から私の夢だとか、好きなものまで諸々聞いてくれており、彼女の将来の細やかながらも何かきっかけになれれば、、と思って話していたのだが、その時に彼女はこんな質問を私にしてくれた。

『北村さんって、なんだか毎日が楽しそうです。でも、電車に乗ったりニュースを見たりすると、楽しくなさそうな大人が多いと思っていて。大人になっても楽しくいるためには、何をしたらいいですか?』

その瞬間に、「うわあ、すごい」と心の底から思ったのだ。

そこまで大人たちを見ているということ、大人がつまらなそうにしていると思っていること、楽しく在り続けたいと思っていること、そのためには何をしたらいいか考えたいと言う気持ちをもっていること。

その瞬間に、なぜかとても嬉しいのか悲しいのか泣きそうになってしまったのだが、私はあまり何も考えずに、こう答えていた。

『今までの自分の人生で本当に一番楽しかった時のことを思い返して。それが何かをいつも考えるんだ。そして、それで思いつく楽しいことを、ひたすらやってみる。それでいいと思うよ。』



私が大好きなマンガの1つ、『ちはやふる』にも、楽しさにまつわるシーンがある。
『ちはやふる』は最近映画にもなっていた、競技かるたに取り組む高校生たちを描いた作品だ。



主人公の千早と幼少期から共にかるたをしていた太一と新、彼らの電話でのやりとり。
太一は強くなりたいと思いつつも、いつもなんだか運が悪いのか自分の弱さなのか、試合中の大事なところでいつもミスをしたり負けてしまう癖がついていた。それをなんとか解決したいと思い、自分が片思いをする千早、彼女が好いている相手の新、永世名人の孫として幼少期から全国で常にトップを走ってきた彼に、自分のプライドを捨てて聞くシーンだ。

太一:「もしもし、新か?」
新:「太一?」
太一:「聞きたいことがあるんだ」
新:「なに?」
太一:「なんかこう、狙ってる札が全然でてこないこととか、そういうことってないか?そんな時に新、どうしてる?まあ、お前にそんなことはないか、、、」
新:「、、、イメージ。」
太一:「え?」
新:「イメージ。自分がかるたで一番楽しかった時のイメージをするんだ。その時の自分になりきるんだ。」



楽しいシーンというのは、何よりも自分を支える糧になる。
そして、糧になるだけでなく、毎日の自分を鼓舞してくれる存在になる。

この高校1年生の彼女にも、聞いてみた。
『今までの学校生活の中で、一番楽しかった時って、どんなことしてた?』

彼女は『んーなんだろう?』と考えたあと、嬉しそうにこう答えた。

『体育祭で、クラス対抗の大縄跳びがあったんです。みんなで毎日毎日頑張って練習して、当日はそれまでの跳べた回数を大きく超えて、跳べたんです。優勝はできなかったんですけど、みんながそれぞれ必死に頑張って、努力できたのが1番楽しかったです。』

それから、こう続けた。

『大縄跳びって回す人と跳ぶ人しかいないですけど、みんな役割があったんです。掛け声をする人、応援する人、数を数える人、みんなそれぞれキャラクターがあって、自然とみんながそれぞれみんなのためにやってました。全員でできたことが本当に楽しかったんです。』

彼女の言うことを聞いて、改めて、こんな風に自分の楽しいことを楽しそうに話す人が、大人がたくさん溢れるようになったらいいなと、強く思ったのだ、



さて、そこまでまた思うことがある。
『大人になっても楽しくいるためには、何をしたらいいですか?』と問われたら、今の大人たちはどう答えるのだろうか。


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