電車内での瞬間的ロマンスから見る、コミュニケーションスタイルの伝播経路。




今朝、電車に乗って空いていた座席に座った時のこと。

横の座席に座る方、長椅子の一番端の肩だったのだが、やたらと肩でこちらをグイグイ押してくる。

30代中盤くらいの女性だったのだが、
眠くて電車に揺られているのか、それともなんとも珍しいロマンス的なやつなのか!

と一瞬心をよぎった私は若干ドギマギしながら押されるがままに座っていたのだが、
その心は瞬間的に瓦解することになるとはこの時考えてもみなかった。


最初はそんな状態で私も普通に座っていたのだが、15秒ほどして、何か違和感あることに気がつく。
というのも、その方は長椅子の1人分の座席に座るだけでなく、なんだか完全に私が座ってる領域を侵犯してこようとするのだ。
そのグイグイ押すレベルが結構すごくて、座席の前に立つ人もなんだなんだとチラチラ見るし、押されすぎて私が横に倒れそうになって、彼女とは逆側に座る30代くらいの男性もなんだなんだ?と私と私の横の彼女を見る。

過去に私と何か縁のあった方なのか、もしくは何か私が何か過去に悪いことをしてしまったのか、などなど色々考えを馳せるも、何も心当たりがなく(ほんとですよほんと)。


そうすると、彼女が口を開いた。

「そこ、私がちょうど荷物置こうとしてたんですよ。なのに座られて、早くどいてもらえません?邪魔なんですよね。」


この時の自分の表情はかなり唖然とした感じだったと思うのだが、まあしこたまびっくりしたわけで。

そんなタイミングでちょうど私が降りる駅になり、関わるのも面倒なので何も言わずに座席を立った。
すると、こんな風に言葉をかけてくる。

「は?なんとか言えよ。無視してんじゃねえよ。」



電車を降りた私が振り返ると、未だに彼女は私にガンを飛ばすように目線を投げかけてくる。
それを見てから私は踵を返し、駅のホームを歩き始めた。


私自身としては悲しい気持ちになった出来事だったのだが、そこで思ったのだ。
でも、これもおそらく彼女が、そのようなケンカ腰スタイルというか、相手に言葉をぶつけるようなスタイルでしか他者とコミュニケーションを取ってこなかったからなのだなと。

おそらく、彼女の家族も友人も、そのように自分の溢れ出る気持ちを相手にぶつけるようにしてやりとりをするのだろう。
そして、その気持ちの発露の手段として取る言葉の選択も、少しきつめなのだ。きっと。



コミュニケーションのスタイルは、上の世代から下の世代に伝播する。
そして、横にも伝播する。

別に家族や友人間に限らない。
組織もそうだし、人が複数人集まればその現象が起きる。



仮にそんなコミュニケーションだけになったら、そんな世界は嫌だな。もっと互いが気持ちよく過ごせるコミュニケーションで満ち溢れた世界がいいな。

そんなことを思いながら、私は改札を出た。



コメント