現代の茶人たちが茶の道を歩むために、いつもしている3つのこと。




昨日友人と話している時に、とある質問をされました。
「茶道やってる人って、実際何をして"茶道を学ぶ"と言ってるの?剣道とか弓道とかなら練習してるんだろうなって想像がつくんだけど、茶道って何も想像がつかないんだよね。練習するの?何か試合とかあるの?」

確かに、そうですよね。
茶道の世界ってよくも悪くも閉鎖的ですし、あまり対外的にこんなことやってますってわかりにくいですよね。
映画とかドラマで茶道の様子を描いたシーンがあったとしても、それって全員なんだかお点前して抹茶をお客さんに出してるくらいしか出ませんし。


さて、ということで本日は茶道やってる人たちってどんなことをしているの?
というところを書いてみたいと思います。
(もちろん、私が関わっていたところ基準で話しますので、茶道やってる人全員が当てはまる訳ではないというのを覚えておいてください。)



茶道を学ぶ人が行うこと、どのような軸で区切るかによって結構異なってくるところではあるのですが、基本的には以下の3点です。

・お稽古
・茶会
・茶会訪問

「シンプルすぎてわからない、、、」という声が聞こえてきそうなので、それぞれ書きましょうか。


■茶会
ここから書かないと他の理解が及ばないはずなので、「茶会」について書きます。
茶会は、簡単に言うと外部の方を招いて行うものです。ここで行うのは、お茶を点てること、これを「点前」(てまえ)と呼びます。
点前と言っても、茶室でお茶を点てることだけをするわけではありません。お茶を点てる道具を茶席に運び出して置き、茶碗などを清め、茶碗をお湯で温め、、、という動作から始まり、片付けまでの一連の流れを行うのが点前です。この点前にはまた難易度みたいなものがあり、最初は簡略化されたものを、次第にどんどん複雑な、複雑でも優美だったり意味合いが濃かったりするものに変化していきます。

これを、外部のお客様向けに行うのです。他の流派の方を招くこともあれば、自身のお客様を招くこともあります。昔でいうと、武将同士が対話をしたり、相手の心を懐柔するために招いたこともあったようですね。
最近では茶会を行うことのできる場所は減ってきているものの、都内にもまだまだ存在します。明治神宮とか、国立博物館とか、新宿御苑とか、はたまたホテルオークラみたいなところだとか。私もそんなところでいつも茶会を催していました。


↓茶会イメージ(屋外もあれば、屋内もあります)




なお、この茶会にも、通常/簡略の違い、季節ごとの内容の違い、執り行う時間による違いがあります。

茶会と言ってもお茶だけを点てるものもあれば、以下のような一連の流れに沿って、比較的長時間かけて行うものもあります。
炭点前(お湯を沸かす炉を作るところから行う)
→懐石(簡単に言うと、ごはんを用意し食べる時間)
→中立(簡単に言うと、休憩。だが、この時間では茶室にある書や華などを拝見する時間も含まれています)
→濃茶(みなさんが想像される抹茶とは異なり、水分量が少なく、どろどろとした抹茶です。)
→薄茶(みなさんが想像される抹茶です)

季節ごとはわかりやすいと思うのですが、時間ごとの違いで言うと、早朝・朝・昼・晩・深夜、に行う茶会もあったりします。

↓濃茶イメージ



↓薄茶イメージ





■お稽古
さて、茶会に関しての記述が長くなってしまいましたが、ここからはサクサクと。
茶会と言う本番行事がある以上、例えば剣道や弓道などのスポーツ系と同じく、練習せねば本番を迎えることができません。
ということで、日々のお稽古では茶会で行う点前の練習をしたり、茶会では行わないけれどもより一層難易度の高い点前の練習をします。

また、華や書、器、茶道具の知識や経験(お華を活けるだとか、器を作るとか含め)も学んだりします。というのも、「茶会」のところで書きませんでしたが、茶道というのは日本文化の総合芸術と呼ばれておりまして、その茶室に日本文化の粋を集めるわけです。そのためには、茶を点てる人間が基本的に全部自分でできないといけないわけですね。
茶会は基本的にお客様をもてなすためのものなので、お客様をもてなすために、茶だけでなく、室内の装飾(華や書など)も大事ですし、懐石の時の様々料理の入る器を選ぶのも、もてなしのためにはとても大事なわけです。

これを、基本的には師匠の元で実践的に学ぶわけです。時々、師匠が行う茶会のお手伝いをするというのもお稽古の中に入りますね。


■茶会訪問
茶の道にいる限り、他の流派などの外部だけども共に茶を学ぶ人がいるわけです。
そんな彼ら彼女らが執り行う茶会にお招きいただいた時には、伺わせていただきます。
それは相手への敬意を払うということでもあり、他の流派の点前を拝見することもとても勉強になるので、積極的に参加させてもらいます。
そうした参加により、自身の茶会の時にも来ていただくことができ、そんなやりとりというか循環をとても大切にするわけですね。


そんなこんなで記してきましたが、茶道を行う人は基本的にはこんなことを日々ひたすらやっているわけです。
私の場合は、本当に来る日も来る日も毎日朝から晩まで茶道ばかりしていた時期がありました。(ちなみに昨日も書きましたが、正座は本当に体に悪いので大変です)

今日はそれくらいにて。
ではまたさらにめくるめく茶道の世界へと。


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