"異物"と出会った時の、解釈の仕方が人の生き方を決める。




新しい領域というのは、専門領域と専門領域の<間>にあるんですよ。

今日偶然読んだ記事の中で、科学者・高橋政代さんがそう言っていた。


彼女はノーベル賞で話題になったiPS細胞を使い、目の難病を治す新しい治療法を開発している科学者だ。
実際に、2014年、動物実験ではなく、人にiPS細胞から分化した細胞を移植する手術を世界で初めて成功させ、今年、これも世界で初めて他人のiPS細胞を使った移植手術に成功させている。



新しい領域というのは、専門領域と専門領域の<間>にあるんですよ。

眼科医は脳の再生医療研究を知らない。接点がないんですね。知っていれば網膜の再生を思いつく人はいたと思う。

逆に脳の専門家は、網膜再生の重要性がわからない。彼らは実際の患者をみていないから、そこにニーズがあることを知らない。

その両方を知る立場になった私は「網膜再生に取り組むために、ここにいるんだ」と使命感が湧き上がったんです。

ーなぜ彼女は大笑いされても不可能に挑戦したのか? 世界最先端を走る科学者の発想 / BuzzFeedNews(2017/05/14 07:01)
https://www.buzzfeed.com/jp/satoruishido/masayo-takahashi?utm_term=.sl6j7oV3l#.dvjlQZk6V


彼女は脳神経科学者である旦那さんと共にアメリカに渡り、脳の再生医療を目指す研究と出会うことで自身の専門分野でもそれが実現することができるのではと考えた。



ただこれは、専門領域×専門領域という組み合わせだけではなく、単純に違う要素を持つ人同士で集まることで、その<間>に新たな発想が生まれる。


私の仕事の中でも、そのようなことがよくある。
優秀な人や力のある人、専門家が集まったからといって良いものが作られる訳ではない。

もちろん、私の所属する会社はとても小さい組織なので、内部にあるリソースがとても限られている。
だからこそ外部のタイプの異なる方と話を進めていくことが多いのだが、そんな中で意外と、全然違う業界、全然違う年齢、全然違う人種の方と話したほうが、より面白い、より刺激的な良い結果を生むことがあるのだ。


例えば、翻訳事業を営む会社に勤める、46歳のフランス人男性と先日お話していた時の話だ。

彼は13ヶ国ほどのカントリーマネージャーたちを統括する仕事をしていたのだが、マネジメントをするために週に1度はテレビ会議で1時間ずつ1対1で話すとのことだった。

だが、それだけではどうしても情報も遅れてしまい支障があるとのことで、全カントリー
のオフィスを大きなスクリーンに常時投影して、いつでも気になる時に会話できるようにしていると言っていた。


私は日本人以外と一緒に働いたことがないので、それまでは国籍問わず働くというイメージをしきれていなかった。
今いる場所もそれぞれの国籍も違う中でどのようにマネジメントするのだろうか、やはり文化も違うだろうから、全然違うやり方とかがおそらくあるのだろうな、、、
と考えていたのだが、この男性と話をして、「本質的には同じなのか!」と脳内でカチッと音が鳴ったのを覚えている。

「互いにインタラクティブにやりとりをして、互いに理解し理解され合うこと」。

互いに協働する中では、人種の違いを問わず、これが大事なのだなと気づいたのだ。

2カ国に拠点がある会社に国を跨いでサービス(弊社の)を展開した時に、細かいところで違うことは多々あれど、本質的には価値を提供することができるのだろうな、実験してみたいな、と考えている。(実際チャレンジできそうな兆しもある)



ただ、この<間>を見つけた時の解釈の仕方は人によってかなり異なる。

<間>を見つけて、拒否する。
<間>を見つけて、受け入れる。
<間>を見つけて、考える。
<間>を見つけて、行動する。

それぞれの中でも、WHAT(何を)、HOW(どうやって)という部分は変わるだろう。
(何を考えるのか、どうやって行動するか、など)


高橋政代さんは、アメリカに行って脳の再生医療と出会うことで自身の研究にも当てはめられると解釈をした。

心理学者であれば、心の状態の再生の研究を始めるかもしれないし、
専業主婦であれば、旦那さんに対するサポートの仕方を日本の時のスタイルから変えるかもしれない。


そのように解釈は人によって異なり、何が正しいということもなくそれぞれの解釈で良いのだと思うのだが、
その解釈の仕方が人の生き方を決めるのもまた、事実だ。

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