コンゴ共和国の霊長類研究者が語る『それでも人の好奇心が、地平線を広げていく』という話。



『好奇心が、地平線を広げていく』

コンゴ共和国で霊長類の研究をする方とお話する機会があった先日、彼はこの言葉を口にした。




人類の誕生は南アフリカと言われているが、もともとはゴリラやチンパンジーなどと人は同じ種族で、700万年ほど前に人への種の分岐が始まった、、、

というのは、よく知られた話である。


今年流行った『サピエンス全史』しかり、結構前からある『銃・病原菌・鉄』しかり、ちょっと斜めなところから歴史を語る『暇と退屈の倫理学』しかり、
人類史上分析できることは随分と増え続け、そのボリュームはもはや凄まじいレベル。

どれもこれもロマンに溢れ面白いのだが、なかなか難しく何が正しいのかは正直よく分からないのが現状だ。
だが、ある程度理論化され、正しいことと正しくないことがはっきりしているとされている。
病原菌がどのように人に影響を与えたのだとか、食物を求めて狩場を変えていったのだとか、定住した時に余暇時間が生まれて階級が創られたとか。


http://amzn.to/2gyy30Z


http://amzn.to/2gzu9EX


http://amzn.to/2gy9Is5



先日会った彼は随分と長いことコンゴ共和国に住み、霊長類の研究をしているというだけあって、とても理論を追求し続けてきている御方なのだろうなあと思っていたのだが、良い意味でその期待は裏切られた。


彼はこう言ったのだ。

『好奇心が、全てを動かすと思うんですよね』


彼が霊長類と対峙して数十年と経過するらしいのだが、彼らと接しているといつも驚くのがその"好奇心"だと。

自身が何に興味を持っているのか、何が好きなのか、何を求めているのか、その先に何があるのか、、、、彼らの生態を見ていると、彼らがそんなことをいつも直感で感じながら生きているかのように見えて、仕方がないというのだ。


彼はこう続ける。

『世の中で人がどう生まれてどう生きてどう死んでいくのか、過去、そして未来、と語られることは多いけど、正直それは今を生きる大半の人にとってはどうあっても良いこと。僕はそうじゃなくて、"好奇心"が人を歩ませてきた、その事実を確認したいんですよね。その"好奇心"がどのように人に影響を与えるのか、それが分かれば、今の人の指針にもなると思うんです。』




働き方改革。働き甲斐。生き甲斐。楽しさ。

そんな言葉が蔓延しつつも、なんだかそこまでうまく回っていないようなこの世の中で、"好奇心"はそれを変える1つの手立てになるのだろうか。



少なくとも、彼はそう信じ、今日も研究を続けている。

『好奇心が、地平線を広げていく』

そう信じながら。





コメント