『Z世代』の若者の43%が大学卒業後に起業?〜大量起業の先にあるものとは〜



『Z世代』という世代をご存知でしょうか。
1995年〜2008年に生まれた世代のこと、らしいのです。

※私は1991年生まれなのでこれには属さず、我々はよくミレニアル世代、もしくはY世代などと呼ばれますね。


さて、今朝バスに乗っていると、こんな記事を見ました。
(おそらくNewsPicksの会員でないと見れない、海外の記事だと思います)

■「大学卒業後は就職」を変えるZ世代、起業家は教育も自ら選ぶ
https://newspicks.com/news/2498258/body/?ref=picked-news_22

この冒頭は、こんな文章で始まります。

1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」の若者たちには、素晴らしい傾向がみられる。ある調査では、Z世代に属する高校生の61%、大学生の43%が、大学卒業後は就職するより起業したいと回答しているのだ。


さて、ここではなんとZ世代に属する大学生の43%が「卒業後に起業したい」と回答しているそうです。
今の大学4年生が95年生まれだと思いますので、今の大学生はみんなZ世代なわけですね。

この調査はハーバードが行なっているので少なくともアメリカ国内での調査で、日本でどれだけ適合するかは分かりませんが、
とても興味深い調査だとは思いませんか?

大学生の43%が「卒業後に起業したい」と回答していることも然りですが、
その傾向が"素晴らしい"としていることもとても面白いなと感じます。

1人1人の学生が、どんどんチャレンジする。
それ自体はとても素晴らしいことだと思いますし、そのチャレンジは賞賛されて然るべきだと感じますよね。大学生の半数弱が「起業したい」と考え、それがどんどん賞賛されれば、実際に起業する数も徐々に増えるでしょう。


ですが、『世界に向けて創出される価値の総量』という観点に立ってみると、どうでしょうか?

ひねくれた物の見方かもしれませんが、私はその価値の総量が減少する可能性があるのでは、と思うのです。
例えば、以下のような流れで。

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大学卒業後に起業する若手が増える

大組織に入社する優秀な若手が減る

大組織に集まるヒト・モノ・カネのリソースを最大限活かすことができる人材が育ちにくい

過去と比べて、大組織にてリソースを活かすことが困難に

大組織が世の中に提供できる価値が減少する(サービスを受ける人口が減少する)

世の中で不都合や不便が増えていく

別の会社・サービスに頼ろうとするも、各社は大組織と同じクオリティを同じ値段で担保できないので価格が高騰する

高騰した価格でしか得ることができないがゆえ、一個人が持つリソースが減少する

世の中に不都合や不便が増えるも、起業した面々が自事業にて活かすことのできるリソースが減る

自事業にて活かすことのできるリソースが減ると事業を縮小させるか、もしくは外部からの調達や吸収が起きる

結局、起業している数が減ってその面々が仕事にあぶれる

仕事にあぶれるも、もはや大組織に馴染めるような状態ではなく、新たな価値を創造するというより食いつなぐような仕事を行う、事業創造性的にシュリンクした企業の立ち上げや入社が相次ぐ

果たして、より良い社会になるのだろうか???
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大組織には、悪いところがたくさんあるでしょう。

旧態依然とした組織構成、ストレスをかけてくる上司、やりたいこともなかなか承認されない稟議の数、世代ごとに異なる価値観によって意思疎通が困難、、、

でも、大組織だからこそ、提供できる価値と、リソースが存在します。

それを活かすことができる人材が、優秀な人材がこぞって起業する側に回ってしまうと、そのリソースを活かすことができずに世界に提供できる価値が大幅に減少してしまうかもしれません。

安全な水を提供するエビアンやボルビックがシュリンクすれば、世界中に届けられる安全な水が減ることに繋がります。
高性能で頑丈な車を提供するメルセデスベンツやGMがシュリンクすれば、もしかしたら場所によっては事故が増えることに繋がるかもしれません。
世界で共通して安全に使える洗剤などを提供するユニリーバやP&Gがシュリンクすれば、もしかしたら家庭での安全性が失われることに繋がるかもしれません。

上記は全て想像にすぎません。
でも、もしかしたらあり得る話です。



1人1人がチャレンジし、前に突き進んでいくことはとても素敵なことだし、望まれるべきことだと思います。
実際、私も「勇気を持って1人1人が一歩前に歩む世界」っていいなあと思い働いている身です。

でも、1人1人の幸せを追求した結果、全体の幸せ量が大幅に減少するのなら、最終的に1人1人の幸せも減少していくという最たる悪循環に陥ってもおかしくはないですよね。


個人の幸せの追求は大切です。
でも、それがどんな結果をもたらすのかを、どんな世界を作るのかを、忘れてはいけないと思うのです。



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