熟練した店員は、"思いやり"で回転率を上げる




朝、目が覚めると、なぜか世界がふわふわしていた。

そういうことが、時々ある。

ああまたか。

そう思いつつ体温計を手に取り、脇の間に挟む。

久々に38℃の熱が私の体内に篭っていた。



そんなふわふわから始まった今日は、午前中ひたすらに寝て体に力を取り戻していたのだが、どうしてもやらねばならないことがあった。


仕事で使っているMacBook Proの電源が、つかないのだ。昨晩から。

充電器のせいでもなく、私の指の押下力の低下のせいでもなく、ただひたすらに、電源がつかない。


私は全データをクラウド上に保存し、ローカルにはまったく残さない主義なのでデータは大丈夫なのであるが、つかなくなるというのは様々な支障をきたす。
仕事をする上で、PCが機能しないというのは"ポンコツ宣言"に近い。

※ポンコツ宣言…私は何もできない"ポンコツ"である、と認めること


ゆえにApple Storeに行ったのだが、今日はその店内でのことを記したいと思う。


15時半、私は渋谷のお店に入った。
2階に通され、担当の方が挨拶にくる。
ああ、ようやく直る。安堵し作業が始まった。

私がその席にいたのは、計2時間である。
長い、ひたすらに長い。
両横の席は、入れ替わり立ち替わり、お客さんが変わっていった。

その中で、気づいたことがある。
お客さんが相談する内容(基本的には製品の故障だ)の難易度はもちろん各案件によって異なる。
だが、担当する店員さんによって、明らかにお客さんの意思決定スピードが異なるのだ。

なんでだろう、、、そう思い、両横のお客さんだけでなく、背中側に広がるフロア全体を振り返り、見渡して観察を続けた。

そして、感覚的に理解した。
店員さんの"思いやり"が分かりやすいかどうかで、お客さんの意思決定スピードが異なるのだ。


一度、Apple Storeにおける接客(今回は、予約をとっている対応に限定する)のフローを簡単に整理する。


【接客フロー】

・挨拶(両者)
・症状ヒアリング(店員)
・説明(客)
・確認1(店員)
・説明1(店員)
・確認2(店員)
・説明2(店員)
 ↓結果がでるまで、確認と説明をループ
・対策提案(店員)
・検討(客)
・意思決定(客)
・対応(店員)


この中でも、最後の意思決定に影響を与えそうだなと感じたのは、「挨拶」「症状ヒアリング」「説明」の箇所において、"思いやり"が入るか否かだ。

そこの有無にて、お客さんが迷う時間や躊躇する時間がかなり違ったのだ。


それぞれの箇所で何が行われていたか、今日実際に行われていたものを書き記してみる。

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■挨拶
この段階では、自己紹介だけでなく、以下のような項目に関わる質問を店員側が行い、そこから数行分くらいの雑談を交わす。
・服装
・店舗への到達手段
・お客さんとAppleの関係

■症状ヒアリング
この段階では、ただ単に「どうなさいましたか?」と聞くだけではなく、以下のようなコミュニケーションがあった。
・事前に取り次いだ店員から症状を事前に聞いておく(マニュアルに入っていそうなものの、やっている店員とやっていない店員がいた)
・相手を見て聞く(確認をしているのだろうが、手元のiPadを見ながら聞く店員が比較的多い)

■説明
この段階では、店員は聞き手にまわるわけだが、そんな些細な瞬間でもこんなものがあった。
・「故障によって、あなた自身に火傷や目がしばしばするなど影響はなかったですか?」という声掛け
・「故障によって、お仕事や実生活に影響はありますか?」という声掛け
・故障を直すため、ではなく、あなたのため、というニュアンスを伝える
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今日は特に時間を記録していたわけでないし、回数を計測していたわけでもないけれど、なんだかしっくりくるものがないだろうか。

最初の段階で相互のインタラクティブなやり取りを重ね、かつこちらを思ってくれている数々の言葉たち。
"思いやり"だなんて書くととてもシンプルだが、人と人が接する中でこの"思いやり"は大きな威力を発揮するのだろう。

おそらくここは、マニュアルに書いてあるとか研修で学ぶとかそういう部分でなく、
その人の特性がかなり現れる部分である。
もともとそこらへんに神経を研ぎ澄まさなければ、学んだところでできるものでもない。

そんなことを思いつつ待った2時間であった。




…え、私のMacはどうなったかって?

結局直らず、「あとは完全に初期化するしかないですね、、、」という判断がなされた。

私の2時間(若干体調悪い)は、いずこへ。


ちなみに今は、Macを家に持ち帰り言われた通りの手順で初期化しようとするも、なぜか初期化できないというループにハマっている。

あまりに変に稼働させすぎて、Macまで熱を帯びてきた。





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